この記事を読むとわかること
- 糖尿病による慢性合併症についてわかります
- 合併症を早期発見するための観察項目がわかります
いよいよ糖尿病が進行して起こる慢性合併症についてです。
糖尿病は特に合併症による生活への支障は大です。
合併症を起こさないよう、知識を備え、患者さんへの指導へ活かしていきましょう!
慢性合併症とは
慢性合併症は成因やその病態から、
血管障害合併症
と
その他の合併症(糖尿病関連疾患)
に分けられます。
さらに、血管障害合併症は、細小血管障害(3大合併症)と大血管障害(動脈硬化性疾患)に分けられます。
その他の合併症には、糖尿病足病変、認知症、歯周病、骨骨粗鬆症、うつ病、がん、非アルコール性脂肪性肝疾患、糖尿病白内障、慢性感染症などがあります。
今回は糖尿病の3大合併症である細小血管障害についてまとめていきます。
看護師国家試験の勉強でも学習したかとは思いますが、糖尿病の3大合併症は「しめじ」で覚えたのではないのでしょうか?
し→神経障害
め→眼の合併症
じ→腎障害
この3大合併症は毛細血管の障害を認めることから細小血管障害といわれます。
糖尿病神経症
合併症の中では最も早期に発症・頻度が高いとされています。
神経細胞における代謝異常や細小血管の血流低下により、神経細胞が低酸素、低栄養状態となり、神経障害が起こります。
神経障害は多発神経障害と単神経障害の2つに分類されます。
多発神経障害
頻度が高いのは多発神経障害となります。
両下肢末端、足底のしびれや知覚異常、ジンジン・ピリピリといった自発痛があります。上肢にしびれや知覚異常をきたすことはまれです。
多発神経障害では、①感覚・運動神経障害と②自律神経障害を起こすとされています。
①感覚・運動神経障害
下肢遠位部から左右対称性に上行性に進行し、しびれ感や足の裏に紙を貼ったような違和感、冷え感、ほてり感、こむら返り、痛み(ジンジン・チクチク・ピリピリ・ビリビリ)などの症状が出ます。
軽症であれば血糖コントロールにより症状が軽快・消失することもありますが、血糖コントロール不良であれば、症状が増強し、睡眠不足や憂鬱状態になることがあります。
神経障害の進行により、知覚神経が麻痺し、触覚や温痛覚がなくなります。
これにより、こたつ・湯たんぽ・カイロ・夏の砂浜での熱傷に気づけなくなってしまう原因になります
②自律神経障害
交感神経による末梢神経の収縮障害では、起立時に30mmHg以上の血圧低下をもたらし、めまいや湿疹の原因となる起立性低血圧や、消化管の運動障害による下痢や便秘を繰り返す糖尿病胃腸症、腎泌尿器系の機能障害では神経因性膀胱(無力性膀胱・排尿障害・残尿)や性機能異常、勃起不全などが起こります。
命にかかわる症状では、インスリン拮抗ホルモンの分泌不全があると、動悸などの症状が乏しいため、低血糖に気づかず、突然に意識障害に陥ることがある無自覚性低血糖のほか、心臓の自律神経障害による不整脈や心停止が生じやすく狭心症や心筋梗塞の発作時に胸痛がなく、当然死を起こすことがあります。
単神経障害
単神経障害は、単一の神経束が障害されます。
原因として、神経栄養血管の閉塞が考えられています。
軽症の糖尿病でも発症することがあり、顔面神経麻痺、動眼神経麻痺、外転神経麻痺などが代表的です。
単神経障害では、①脳神経障害と②体幹・四肢の神経障害と③糖尿病筋委縮を起こすとされています
①脳神経障害
症状として、顔面神経麻痺(目や口を十分閉じられないため、角膜に炎症が生じたり、よだれが口角から流れる、タバコを吸う・ストローで吸うことが困難になる)、眼筋麻痺(動眼神経・外転神経・滑車神経麻痺のいずれも複視を起こす、動眼神経麻痺では眼瞼下垂)などがあります。
②体幹・四肢の神経障害
代表としてシャルコー関節症という関節障害があります。
交感神経障害や動静脈シャント形成などによる血流異常と足の感覚異常により慢性的に足に圧負荷がかかると、骨軟骨や軟部組織の破壊が起こり、目に見えない微小骨折が起こり、骨関節の柔軟性が失われ、足が変形します
③糖尿病筋委縮
下肢近位筋に、両側性の筋委縮と筋力低下および大腿部の疼痛が緩徐進行性に出現します。筋委縮は大腿四頭筋、大殿筋、腸腰筋などに認められることが多いです。
検査
- 深部腱反射検査(アキレス腱・膝蓋腱反射)
- 振動覚検査
- モノフィラメント圧覚検査
- 末梢神経電動速度検査
- 心電図検査
- 心筋シンチ
- 起立負荷試験
- 尿流量計
- 膀胱内圧測定
- 頭部MRI検査
などがあります
治療
発症や進展予防には、早期発見と血糖コントロールが重要です。
また、飲酒と喫煙が神経障害を悪化させるため、禁酒・禁煙を指導します。
以下は、それぞれの神経障害に対しての治療薬についてです。
【感覚・運動神経障害】
- アルドース還元酵素阻害薬(エパルレスタット・キネダック)によるポリオール代謝の阻害
※ポリオール代謝とは、 高血糖に伴い取り込まれるブドウ糖の量が増えると、解糖系経路だけでは処理しきれなくなり、迂回経路のポリオール代謝経路を通るようになります。その結果、ソルビトールの蓄積などのいろいろな代謝異常が生じ、細胞の機能が障害されます。 - ビタミンB12(メコバラミン、メチコバール、シアノコバラミン、)によるしびれの改善
- プロスタグランジン製剤(アルプロスタジル アルファデクス・プロスタンディン・リマプロストアルファデクス・ベラプロスト)による血流障害の改善を試みます
- 有痛性神経障害には消炎鎮痛剤は無効のため、プレガバリン(リリカ)・デュロキセチン塩酸塩(サインバルタ)・カルバマゼピン(テグレトール)・ガバペンチン(ガバペン)・イミプラミン塩酸塩(トフラニール)・メキシチレン塩酸塩(メキシチール)などが使われます
【自律神経障害】
- カテコラミン系(ミドドリン塩酸塩・メトリジン)による起立性低血圧の改善
- ドパミン受容体拮抗薬(メトクロプラミド・プリンペラン)やセロトニン受容体作動薬(モサプリドクエン酸塩水和物・ガスモチン)による胃無力症に対する改善
- 腸運動抑制薬(ロペラミド塩酸塩・ロペミン)や活性生菌製剤(ラクトミン製剤・ビオフェルミン)による下痢の改善
- コリンエステラーゼ阻害薬(ジスチグミン臭化物・ウブレチド)や排尿障害治療薬(タムスロシン塩酸塩・ハルナール)による神経因性膀胱の改善
【単神経障害】
多くはステロイド療法がおこなわれるため、糖尿病の治療はインスリン療法に切り替えが必要となります。
糖尿病網膜症
網膜症は、網膜(光受容組織)にある毛細血管が障害されるため、視力低下や失明を起こすことがあります。
重症にならないと自覚症状がないため、糖尿病の患者さんは症状がなくとも眼科にコンサルトし、検査を行うことが多いです。
糖尿病網膜症は日本の視覚障害の原因の2位となっています。
失明までまでの機序
高血糖持続
↓
毛細血管瘤、出血、毛細血管の血栓を生じて網膜に障害を受ける
↓
網膜の傷害を修復しようと新生血管が増殖
↓
増殖した欠陥は破れやすく、出血の原因になる
↓
出血が硝子体に広がり、その凝固塊がもう悪を牽引する結果、網膜剥離を起こし、失明に至る
糖尿病網膜症は黄斑に病変がない限り視力は良好であるため、病気がかなり進行し、硝子体出血や網膜剥離などが生じてやっと視力低下を自覚します。
黄斑部は網膜の中心部で、視神経が密集しています。
黄斑部は浮腫・虚血・編成萎縮が起こりやすく、黄斑症を合併すると視力低下や変視症などが出現します。
検査
網膜症に対しては眼底検査を行います。
散瞳薬を使用する必要があるため、4-6時間は羞明やピントの合いにくさが出現することに注意が必要です。
糖尿病病気分類では、単純糖尿病網膜症(SDR)→増殖前糖尿病網膜症(PPDR)→増殖糖尿病網膜症(PDR)の順に重症となります。
治療
基本は血圧と血糖コンロールが重要となります。
【レーザー光凝固術】
増殖前糖尿病網膜症の新生血管の発生予防、または増殖糖尿病網膜症ですでに発生した新生血管を消失させる目的で行います。
外来でも治療可能で、範囲によっては間隔を空けて数回行うこともあります。
【硝子体手術】
出血による硝子体混濁、硝子体混濁の原因である新生血管、牽引性網膜剥離の原因である増殖膜を手術により除去します。
この手術では、内側から網膜を押さえるために、手術終了時にガスやシリコンオイルを注入します。
ガスを注入した場合は、プローン体位(腹臥位)をとる必要があります。
ガスは浮きますので、プローン体位をとることで押さえたい網膜の部分にガスが浮くため、トイレや食事以外はこの体位をとることが重要になります。
プローン枕と言って、顔をうずめる部分が空洞になっている枕を活用したり、腰痛に対しての対応が必要になってきます。
意外と若い人でもプローン体位を頑張りすぎて肘に褥瘡を作る人もいるので注意が必要です。
また、プローン体位をとる日数については、医師が網膜がしっかりとくっついていることを確認できるまでになりますので個人差はありますが、最低でも5日程度はプローン体位をとっていた印象があります。
糖尿病腎症
新規透析挿入の原疾患は糖尿病腎症が第一位であり、41.6%(2019年)を占めています。
また、糖尿病腎症の進行は、心血管イベントでの死亡率が上昇し、透析導入後の5年生存率が約60%と予後が悪くなります。
高血糖により、腎糸球体の血管に障害を起こし、腎臓の濾過機能が低下すると、体内に老廃物(血中クレアチニン、尿素窒素、カリウム)が蓄積し、尿毒症・腎不全になり、人工透析が必要となります。
症状として、尿量減少、眼瞼・下肢に浮腫、ヘモグロビン低下による貧血症状の息切れやめまい・倦怠感などがあります。
初期の段階では自覚症状がほとんどなく、これらの症状が出現するころには腎機能がかなり低下(第3期以降)しています。
障害される腎機能:老廃物の排泄
老廃物の排泄遅延により、尿毒症を起こすことがあります。
尿毒症は末期の腎不全に起こる体の変化をいいます。
症状として、
- 眼:視力障害、眼底出血、幻覚
- 脳:意識障害、痙攣、不眠、頭痛
- 口:尿毒症性口臭(尿臭)、歯肉出血、味覚異常、口内炎
- 顔:浮腫、黄土色
- 肺:咳嗽、呼吸困難、肺水腫、胸水
- 心臓:心不全、動悸
- 腎臓:尿量減少
- 消化器症状:食欲不振、嘔気、嘔吐、下痢
- 皮膚:かゆみ、皮下出血(出血傾向)、浮腫、色素沈着
- 骨:骨病変
- 末梢神経:感覚異常、イライラ感、バーニングフィート症候群(灼熱脚症候群)、レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)
などがあります。
採血で観察していく必要がある項目は、尿素窒素(BUN)・クレアチニン・尿酸・無機リンなどがあります。
障害される腎機能:水分の調節
腎機能が低下すると尿量が減り、体内の水分量はそのまま体重の増減につながります。
そのため、症状として浮腫や呼吸困難があります。
レントゲンや尿量、飲水量を観察し、水分が過剰になっていないか確認します。
必要であれば医師より飲水制限量を指示されることがあります。
★浮腫のメカニズム
蛋白質の分子は大きく、血中には多く存在していますが、間質(細胞と細胞の間)を通ることはできません。
蛋白質濃度の低い間質と濃度の高い血中では、浸透圧の作用が働き、同じ濃度になろうと、血中に水分を引き込んで濃度差をなくそうとします。
その蛋白質が低下すると、血中に水分を引き込む力が弱くなり、間質に水分が貯留してしまうため、浮腫が生じます。
アルブミンを点滴投与するのは、血中にアルブミンを増やして水分を引き込むためですね。
障害される腎機能:血圧の調節
腎機能低下による血圧上昇の機序には以下の3つがあります。
①レニンの増加
腎機能が低下し尿量が減ると、腎臓はレニンというホルモンを分泌します。
レニンは血液量を増やして、かつ血管を収縮することで血圧を上げるホルモンです。
腎臓は血圧を上げることで腎臓に流れ込む血液量を増やし、尿をたくさん作ろうとしています。
しかし、血圧が上がっても尿量が増えないと、さらにレニンは分泌され、どんどん血圧が上がっていきます。
②ナトリウムと水の調節ができない
1つ前でも述べましたが、腎機能が低下すると水分の調節がうまくいきません。
また、ナトリウムの排泄もうまくできないため、血液量が増え、血圧が上がってしまいます。
③末梢血管の抵抗
腎機能が低下し、血圧が上がると、腎臓の末梢血管が硬くなり血液が流れにくくなります。
このため、末梢血管抵抗が大きくなって血圧はさらに上がります。
そのため、日々の血圧の変動にも注意していきましょう。
障害される腎機能:酸塩基平衡の調節
腎臓には、血液のPHを弱アルカリ性に保つ働きがあります。
腎機能低下時には重炭酸イオンの再吸収が阻害、水素イオンが排泄されにくくなります。
重炭酸イオンが減少すると、不足を補おうとして、二酸化炭素の分解が進みます。
二酸化炭素が分解されるとき、重炭酸イオンと同時に水素イオンが生成されます。
二酸化炭素の分解が進めば進むほど、水素イオンが過度に作られ、結果的にアシドーシスを引き起こします。
そのため、重炭酸イオンの値には注意してみていきましょう。
障害される腎機能:電解質の調節
電解質にはNa(ナトリウム)、K(カリウム)、Ca(カルシウム)、 Cl(クロール)、Mg(マグネシウム)、P(リン)があります。
腎臓はこれらの電解質の濃度を正常にし血液を弱アルカリ性に保っています。
それぞれの電解質異常による症状についてですが、
- Na↑:口渇・浮腫・血圧上昇
- K↑:手指がしびれる・口唇がしびれる・倦怠感・胸部症状
- P↑:カルシウム沈着による関節の痛み・掻痒感
- Mg↑:嘔気、嘔吐 などがあります。
加えて、電解質異常により心電図にも異常をきたします。
特にKが高い患者さんは、致死性不整脈へ移行する場合があるため、必ずモニターをつけて心電図のチェックをしていきましょう。
障害される腎機能:ビタミンDの活性化による腸管からのカルシウムの吸収促進
腎臓でのビタミンD活性化障害により、腸管でのカルシウム吸収の減少を生じ、低カルシウム血症となります。
そのため、無機リン・カルシウムの値をチェックし、転倒による骨折リスクが高い患者さんには、転倒・転落予防に努めていきましょう。
障害される腎機能:エリスロポエチンの分泌による赤血球の産生
腎臓から分泌されるエリスロポエチン(赤血球を作り出すのに必要なホルモン)の減少による腎性貧血を生じます。
貧血症状やヘモグロビンの変動に注意していきましょう。
腎機能悪化の原因
腎機能悪化の原因として。
- 血糖コントロール不良
- 高血圧
- 過剰な運動負荷や疲労
- 過剰なたんぱく質や塩分の摂取
- 感染症や脱水
- 喫煙
- 腎毒性薬剤の使用(抗菌薬、解熱薬、鎮痛薬、造影剤など)
などの原因があります。
よく腎機能が悪い患者さんはロキソニンなどのNSAIDsが使えず、カロナールなどのアセトアミノフェンが使われますね。
鎮痛時指示にロキソニンが入っている場合には、医師に確認するなどして使用する薬剤には注意していきましょう。
糖尿病腎症の病期分類
糖尿病腎症の病気が1ー5期に分類されます。
第1期(腎症前期)
尿アルブミン値30mg/gCr未満、GFR30ml/分/1.73m2以上
第2期(早期腎症期)
尿アルブミン値30-299mg/gCr、GFR30ml/分/1.73m2以上
第3期(顕性腎症期)
尿アルブミン値300mg/gCr以上あるいは尿タンパク値0.5g/gCr以上、GFR30ml/分/1.73m2以上
高血圧・浮腫症状が出現してきます
第4期(腎不全期)
尿アルブミン値・尿タンパク値は問わない、GFR30ml/分/1.73m2未満
浮腫・心不全・腎性貧血が出現してきます
第5期(透析療法期)
透析療法中
★eGFRとは、血清クレアチニン値と年齢、性別からおおよその糸球体濾過量(GFR)として推算糸球体濾過量を算出し、腎機能の評価としています。
治療
腎機能低下の進行予防のため、血糖・血圧コントロールと感染や喫煙などの要因を可能な限り回避することが重要です。
妊娠や出産については、第3期以降は糖尿病腎症が進行されるため、推奨されていません。
以下に各期ごとの治療について簡単にまとめていきます。
<第1-2期>
自覚症状がなく、糖尿病腎症であることの自覚を持ちにくいため、患者が自分の体の状態を認識するための情報を提供することが大切です。
透析への危機感を持つことも大切ですが、「最終的には透析になってしまいますよ。」などと透析がネガティブなイメージとして抱かせてしまうと、いざ透析が必要になった時に抵抗感が大きくなることがあるため、伝え方にも注意が必要になります。
血糖値・血圧・体重のモニタリングや、症状がないからと言って通院を自己中断しないよう指導することも大切です。
<第3期>
高血圧・浮腫が出現することもありますが、自覚症状は乏しいことがあります。
この時期は血糖や血圧、脂質のコンロール、食事療法や運動制限によって寛解が可能です。
療養行動により病期を戻す、透析までの期間を延ばせるように支援が重要です。
自覚症状や検査値の意味を伝える、栄養士さんに栄養指導の機会を設けるなどしていきます。
<第4期>
尿毒症症状が出現し、透析導入までの期間ができるだけ長くなるようにしつつ、透析導入に向けての準備が必要です。
透析のマイナスイメージを緩和するため、腎臓の機能が低下したときには必要な治療であり、身体が楽になることや食事療法が和らぐ、仕事や趣味などが続けられることを伝えます。
可能であれば、透析室の見学や透析患者と話をする機会を設けることも透析をイメージしやすくなります。
腎機能を補うための薬物療法
尿毒症治療薬:球形吸着炭(クレメジン)
腸内での老廃物を吸着させて、便とともに体外へ排泄します。
ほかの薬と一緒に飲むとその薬も吸着されるため、食後2時間に服用することが必要です。
便秘をしやすいことにも注意が必要です。
高カリウム血症治療薬:ポリスチレンスルホン酸カルシウム(アーガメイト、カリメート)
腸管でのカリウムの吸収を抑制します。
高リン血症治療薬:沈降炭酸カルシウム(カルタン)、セベラマー塩酸塩(レナジェル)、炭酸ランタン水和物(ホスレノール)
消化管内でリンと結合して消化管からのリンの吸収を抑制します。
食事に含まれるリンを吸着させるために食直前や食直後に内服します。
便秘をしやすいことにも注意が必要です。
制酸剤:炭酸水素ナトリウム
血液が酸性に傾くのを防ぎます。
活性化ビタミンD3製剤:アルファカルシドール(ワンアルファ、アルファロールなど)
腸管からのカルシウムの吸収を促進し、骨がもろくなるのを予防する
エリスロポエチン:ダルベポエチンアルファ(ネスプ)、アポエチンアルファ(エスポー)、エポエチンベータ(エポジン)
腎性貧血の治療として、エリスロポエチンの補給をしますが、薬価がとても高額です。
ネスプはよく使っていました。
ネスプは皮下注でも静注でも投与可能で、ルートがあればivできます。
透析患者さんは透析日であれば、透析室にネスプを持って行って透析看護師さんに渡し、透析終了後に投与してもらうことが多かったです。
エリスロポエチン製剤でも貧血が改善されなければ、輸血を行います。
最後に
とてもとても長くなってしまいましたが、慢性合併症について理解できましたでしょうか?
循環器内科で働いていた時には、狭心症や心不全で入院しながら、糖尿病腎症で透析をしている方が多く、糖尿病の進行に伴う心血管イベントは非常に多いです。
循環器であればなおさら使用薬剤は多くなりますが、腎機能にも注意して投与が必要となります。
医師が確認することではありますが、循環器病棟では看護師もクレアチニン値を確認し、現在処方されている薬の継続について指示を仰ぐこともありました。
糖尿病患者さんは注意点が多くて大変です・・・
次回は3大合併症以外の慢性合併症についてまとめていきます。
これもまたたくさんあるため、2つの記事に分けて書いていくかと思います。
合併症はそのあとに急性合併症で終わりです。
それでは、また次の記事でお会いしましょう!
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