この記事を読むとわかること
- それぞれの輸液の特徴がわかります
- 輸液の特徴から、使い分け型がわかります
よく使う輸液ですが、種類が多くて特徴が覚えづらい、何気なく医師のオーダー通りに投与していることが多いのではないでしょうか?
実際に私は、急変時に医師から「なんでもいいから細胞外液持ってきて!」などと製剤名ではなく、輸液の特徴で指示されることもありました・・・
ぜひぜひ、よく使う輸液の特徴と使い分けについて参考にしていただければと思います!
人の身体の水分の分布
人の身体の60%は水分となっています。
60%の内訳として、
40%は細胞
15%は間質
5%は血管
となっております。
次に、この水分の分布を用いて、生理食塩液とブドウ糖液の特徴をみていきましょう
生理食塩液
【特徴】
- Naと水が合体したもの
- Na分子は大きく、細胞内には入れない
- Naと水は合体して分布するため、間質と血管にしか分布できない
ブドウ糖液
【特徴】
- ブドウ糖と水が合体したもの
- ブドウ糖は血管に入るとすぐに使われるため、水分子のみになる
- 水分子は小さく、細胞・間質・血管すべてに分布できる
このことから、「点滴=血管にすべて入っているわけではない」ことがわかりますね。
次に、点滴を投与したときの分布についてみていきましょう。
生理食塩液の分布
生理食塩液は血管と間質にしか存在しない
ということを頭の片隅に置いて、計算していきましょう
間質:血管=15:5=3:1
500mlの生理食塩液・血管に入る分=500×1/4=120ml
500mlの生理食塩液・間質に入る分=500×3/4=370ml
ブドウ糖液の分布
整理食塩駅と違って、ブドウ糖液は細胞・血管・間質すべてに分布できます
細胞:間質:血管=40:15:5=8:3:1
500mlのブドウ糖液・細胞に入る分=500×8/12=330ml
500mlのブドウ糖液・間質に入る分=500×3/12=120ml
500mlのブドウ糖液・血管に入る分=500×1/12=40ml
生理食塩液とブドウ糖が人の体の中でどのように分布するのか、
なんとなくわかりましたでしょうか?
次はよく使う輸液の種類ごとに分布をみていきましょう!
1号液(開始液)
1号液=生理食塩液:ブドウ糖液=1:1
500ml1号液・血管に入る分=生理食塩液250ml×1/4(=60ml)+ブドウ糖液250ml×1/12(=20ml)=80ml
500ml1号液・間質に入る分=生理食塩液250ml×3/4(=180ml)+ブドウ糖液250ml×3/12(=60ml)=240ml
500ml1号液・細胞に入る分=ブドウ糖液250ml×8/12=160ml
2号液(脱水補給液)
2号液=1号液+カリウム
3号液(維持液)
3号液=生理食塩液:ブドウ糖液=1:3
500ml3号液・血管に入る分=生理食塩液125ml×1/4(=30ml)+ブドウ糖液375ml×1/12(=30ml)=60ml
500ml3号液・血管に入る分=生理食塩液125ml×1/4(=30ml)+ブドウ糖液375ml×1/12(=30ml)=60ml
500ml3号液・細胞に入る分=ブドウ糖液375ml×8/12=250ml
ちなみに、ソルデム3Aとソルデム3AGの違いは、後者にブドウ糖を含んでいるというところに違いがあります
4号液(術後回復液)
4号液=3号液-カリウム
細胞外液補充液
細胞外=血管と間質のことを指すため、細胞外液は血管と間質に分布する輸液となります
よく輸液名の最後にDやFがつきますが、
D=dextrose=ブドウ糖を含む
F=free=付加物のないもの
という違いを表しています。
最後に
それぞれの輸液の分布を表にまとめましたので、ご参考ください。
※500mlの輸液で計算しています
※わかりにくくなるため、計算値は下一桁はほとんど切り捨てています
※付加物は輸液によって異なりますので、Kのみ示しましたが、ほかにもいろいろとあります
急変時はほとんど血管に点滴を投与したいケースなので、ご自身の病棟にある細胞外液を確認しておいてくださいね!
記事を書くにあたって輸液を調べてみると、たくさんの種類があって驚きました
それでは次の記事でまたお会いしましょう!
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