知識まとめ【糖尿病】糖尿病の疫学と糖代謝

知識まとめ【糖尿病】

この記事を読むとわかること

  • 糖尿病のおおまかな疫学がわかります
  • 糖の代謝についての知識が深まります
ものぐさ看護師
ものぐさ看護師

どの病棟でも既往に糖尿病を持つ患者さんは多いかと思います。

糖尿病があると、食事や薬など、治療上の注意点が多くて大変ですが、少しずつ記事にしていきますので、一緒に学んでいきましょう!

糖尿病の疫学

【Ⅰ型糖尿病】

世界:小児の発症率が増加しています

日本:発症率は女児>男児11-12歳で発症しやすくなります

【Ⅱ型糖尿病】

世界:20-79歳の糖尿病有病率は3億8000万人、男女比は同等程度、今後も増加傾向にあると予測されています

日本:2013年で糖尿病有病者は720万人糖尿病が強く疑われる(すでに診断され治療を受けている人を含む)人は1200万人可能性を否定できない人は1000万人。日本は世界で10位となっています。

糖尿病の全体の95%はⅡ型であり、Ⅰ型は1-3%にすぎないといわれています。

数値はわかりやすいように少し切り上げたり切り捨てたりしていますので、

だいたいの数として見ていただき、ご了承ください。

糖尿病かもしれない人が2200万人もいるとなると、

看護師をやっていて糖尿病からは逃げられないということになります笑

糖の代謝

糖は中枢神経系に重要なエネルギー

ブドウ糖欠乏時は、脂肪をエネルギー減として利用します。

しかし、脳はブドウ糖しかエネルギーとして利用ができないため、糖分摂取は大事になります。

頭が疲れた時にはブドウ糖というのはこれのことですね。

ブドウ糖の代謝経路

炭水化物を摂取すると、消化されてブドウ糖になります。

ブドウ糖の行先として3つあります

①一部は肝細胞に取り込まれ、グリコーゲンとして貯蔵されます

②体循環に入り、全身の細胞のエネルギーとなります

③エネルギーとして使用されずに余ったブドウ糖は、骨格筋ではグリコーゲンとして利用され、脂肪細胞に転換されて蓄えられる

血糖は70-140mg/dLで一定に維持されるように調整されている

血糖の調整には、以下のようないくつかの種類があります。

★交感神経刺激で血糖上昇

アドレナリンが肝臓や骨格筋に作用し、膵臓のランゲルハンス島の A (α)細胞に伝わり、グルカゴンを分泌します

★副交感神経刺激で血糖低下

膵臓のランゲルハンス島の B (β)細胞に伝わり、インスリンを分泌します

★ランゲルハンス島

膵臓にある細胞集団であり、各細胞からホルモンを分泌します。

A(α)アルファ細胞:グルカゴン分泌(血糖↑)

B(β)ベータ細胞:インスリン分泌(血糖↓)

D(δ)デルタ細胞:ソマトスタチン分泌(インスリンやグルカゴンなどの分泌を抑制します)

★血糖低下に関係するホルモン=インスリン

インスリンの生成は、以下のようになります。

B(β)細胞→プレプロインスリン→プロインスリン→インスリン・C-ペプチド

インスリンとC-ペプチドは同量ずつ産生され、血中に分泌され、10%は代謝されずに尿に排泄されます。

尿中、血中のC-ペプチド値はインスリン分泌能を反映します。

糖尿病疑いの人には、24時間尿を畜尿便に貯めてもらい、一日のC-ペプチド排泄量を測定して検査します。

C-ペプチドがインスリンと同量産生されることから、測定できるというメカニズムですね。

畜尿の際は、医師に保存剤を入れるか確認しましょう。

保存剤を入れるのは、尿は細菌が繁殖しやすく、尿中成分が変化を受けやすいためです。保存剤を入れる・入れない畜尿を2回指示されることもあり、面倒くさかった思い出があります・・・

<インスリンの作用>

①骨格筋や脂肪において、糖の取り込みを促進します

②肝臓や筋肉でのグリコーゲンの合成を促進させ、肝臓・筋肉に取り込まれる

<基礎インスリン分泌>

食間や夜間はインスリン拮抗ホルモンとのバランスにより、血糖値を一定に保ちます。

このときのインスリンは基礎インスリン分泌といいます。

<追加インスリン分泌>

食事で血糖が上昇すると、B(β)細胞からのインスリン分泌が亢進します。

このときのインスリンは追加インスリン分泌といいます。

<インスリンの分泌調整>

①ブドウ糖だけでなく、アミノ酸や脂肪酸などの栄養素によっても分泌が促進されます 

②インクレチンと呼ばれる腸管ホルモン(GIP、GLPー1)がインスリン分泌を促進します

③D(δ)細胞から分泌されるソマトスタチンが絶食時や低血糖時にインスリン分泌抑制に関わります

★血糖上昇に関係するホルモン=インスリン拮抗ホルモン

インスリン拮抗ホルモンには、グルカゴン・カテコールアミン・成長ホルモン・糖質コルチコイドがあります。

<グルカゴン>

A(α)細胞から分泌され、低血糖時に分泌が促進され、肝臓でのグリコーゲンの分解・糖新生によって血糖を上昇させます。

<糖質コルチコイド、成長ホルモン、カテコールアミン>

肝臓でのグリコーゲンの分解や糖新生、末梢での糖利用の低下などにより血糖を上昇させます。

低血糖による中枢神経障害を防ぐために、インスリン拮抗ホルモンは大切なのです。

★空腹時・食後の血糖調整

〈空腹時〉

  • 空腹時はインスリン分泌が低下します
  • インスリン拮抗ホルモンが分泌され、肝臓に蓄えられていたグリコーゲンがグルコースに分解され、血中に供給されます

〈食後〉

  • ブドウ糖は肝細胞に取り込まれ、グリコーゲンとして蓄えられます
  • 過剰分は体循環の血糖となり、食後の血糖上昇反応を起こします
  • B(β)細胞からインスリンが分泌され、肝細胞に作用してグリコーゲン分解にかかわる酵素を抑制することで、肝臓の糖新生が抑制されます
  • 骨格筋や脂肪において、インスリンは糖の取り込みを促進させます
    (=血中から臓器へ取り込まれます)
  • インスリンは血管拡張を起こし、骨格筋へのブドウ糖とインスリンの供給を促進し、ブドウ糖の取り込みを促進します

★血糖調整に関係する臓器(=筋・肝臓・脂肪)

<筋・肝臓・脂肪>

血糖が高値の時に糖の取り込みや貯蔵をします

<肝臓>

血糖が低いときに糖の放出を行います

<低血糖時の脂肪>

分解され、グリセロールと遊離脂肪酸が産生されます

  • グリセロール:肝臓の糖新生によってグルコースとなります
  • 遊離脂肪酸:全身のエネルギー源として直接利用されます

※遊離脂肪酸が肝臓で代謝されると、ケトン体ができます。

 序盤に述べたように、通常は脳はブドウ糖としてエネルギーとして利用できませんが、

 低血糖状態で生命維持をしようとケトン体をエネルギーとして利用します。

 このケトン体が過剰になるとケトアシドーシスとなるのです。

最後に

血糖値が高い、低い状態に応じて、分泌されるインスリンに違いがあったり、

臓器は糖を取り込む・分解するなどして血糖を調整しようとするなどの作用が働きます。

そのため、糖代謝は血糖値によって作用が変わりますので、注意していきましょう。

少し糖代謝についての記事はまとまりがなくなってしまいましたが、

ご理解いただけましたでしょうか?

もう少しわかりやすくまとめられるように精進します・・・

ではまた、次の記事でお会いしましょう!



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